原子力利用の「ダイナマイト」論的正当化論

日本人の多くは、原爆との関連で原子力に対して「異常の恐怖心と異常の警戒心」を持つが、原子力はダイナマイトと同じような性格のものであり、「誤った使い方をすれば、恐ろしいわざわいを引きおこす」が、「正しい使い方をすれば、人類の幸福に寄与することが、図り知れないものがある」。

「原子力といえば、誰でもすぐに原子爆弾のことを思い出します。全くその通りなのでありまして、この偉大なる発見の利用が、残酷無比な武器の製造によって始められたということは、まことに悲しむべきことであるといわなければなりません。しかも、不思議なことに、この原子力の暗黒面を、世界中でいちばん早く、いちばんひどく、そして、いちばんたびたび見せつけられ、体験させられたのは、われわれ日本人なのです。われわれ日本人が、原子力に対して、異常の恐怖心と異常の警戒心とを持っているのは、もっともだと申さなければなりません。
 けれども、けれどもです。山は高いほど、その山かげが大きいように、陽のあたる面も大きいということを見逃してはならないと思うのです。ノーベルがダイナマイトを発明しました時には、これば人類に大きなわざわいを及ぼすものになるのではなかろうかと、ノーベル自身も心配したほどでありました。けれども、このダイナマイトのお蔭で、トンネルも掘れるし、水力電気もおこせるし、石炭も楽に掘り出せるようになりました。原子力の偉力は、ダイナマイトどころではありません。ですから、誤った使い方をすれば、恐ろしいわざわいを引きおこすことは、明らかでありますとともに、正しい使い方をすれば、人類の幸福に寄与することが、図り知れないものがあると思うのであります。どうぞ人類の叡智が、この偉大な原子力の正しい使い方を促進し、誤った使い方をあくまで抑制することができますように、読者とともに祈り、そして努めたいと思います。」千谷利三(1955)『世界原子炉めぐり』技報堂,pp.213-214

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